2022.05.13
症例紹介
仔猫を迎えた方からよくご相談やご質問のひとつに「避妊手術」や「去勢手術」の時期があります。
手術する時期を逃してしまい、家中におしっこをかけられたり、夜中に「にゃ〜にゃ〜」と泣き続けたりしてしまうこともよくお伺いします。
また、猫は妊娠しやすい「多排卵動物」であるため、そういった意味でも多頭飼いや、外に行く猫には気をつけないといけないです。
今回は、猫の発情について詳しく説明していこうと思います!
オス猫の発情期は、生後6〜10ヶ月頃から始まります。
早い猫であれば、5ヶ月齢くらいで現れます。
発情したメス猫が発するフェロモンに反応して発情が誘発されることが多いため、決まった周期や期間があるわけではありません。
「興奮状態」「おとなしい」「攻撃的」など、猫により反応は様々です。
その他、代表的な行動を紹介しておきます。
トイレ以外の場所でマーキングをするような行動のことです。自分の縄張りを主張するためと言われています。
外を気にしたり、落ち着かない様子になったりします。
自分の居場所を知らせるように鳴くこともあります。
生後6〜7ヵ月で迎えることが多いです。
猫は発情期を迎えれば、妊娠する可能性があります。
長毛種であれば、性成熟が遅く、最初の発情が1歳を過ぎてから迎えることもあります。
猫の発情は、外猫の場合は春になり、日照時間が長くなると、発情が誘発されます。
屋内の猫の場合は、春に始まるとは限りませんが、時期が来れば必ず発情は起こります。
発情期間は、「発情前期」「発情期」「発情後期」の大きく3つに分けられ、合計で平均14〜21日です。
こちらもオス同様に、食欲低下、落ち着きがなくなる、懐っこくなるなど、様々な行動がみられます。
代表的な行動を紹介します。
腹を床につけてお尻を高く持ち上げる。オスを受け入れるような姿勢をします。
自分のにおいをつけるため。転がるような行動もあります。
遠吠えのように大きな声で鳴きます。
トイレ以外の場所にスプレー状に排尿をします。
食欲の低下などがみられる場合は特に早く、お近くの動物病院にご相談ください。
基本的には避妊手術や去勢手術をすることで治まります。
メスの場合は、発情中であれば子宮が拡張しており、やや出血のリスクがあがります。
病院で働いていると夜中に大きな声で鳴いたり、スプレー行動に耐えられなくなり、ご相談をいただくことが多いです。
ホルモンの関係がある病気の予防にもなるため、適正な時期での予防的な手術を実施してあげられればと考えていますので、お困りのことがあれば、お気軽に相談していただければと思います。
動物病院 京都は京都市北区にある動物病院です。
一般的な町の動物病院としての役割のほかに、ねこ専門の病院があったり、骨折や脱臼などの整形外科手術の実績が豊富なことや、皮膚科の専門医診療など、より高度な獣医療も提供しています。
京都市西京区にも分院の動物病院京都 西京桂院があり、京都市内を中心に、飼い主様に寄り添った獣医療を提供しています。
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2022.05.06
症例紹介
動物病院京都 院長の小川です。
今日は猫に多い病気である腎臓病について分かりやすく説明します。
猫を飼ってる飼い主様は「腎臓病」という言葉を耳にする機会も多いと思います。
少しでも腎臓病について知ってもらい、適切な治療が実施できて、健康に長生きできるお手伝いができればと思います。
慢性腎臓病とは、猫の老化に伴い腎臓の機能が低下する病気です。
慢性腎臓病は「腎機能の50%以上の低下が3ヶ月以上低下する状態」と定義される場合もあります。
腎臓の役割は主に「血液を濾過し身体の老廃物を尿として体外に出す」というものです。
腎臓病になることで、この機能が低下してしまいます。
慢性腎臓病の明確な原因は不明ですが、主に腎臓の尿細管という部分が加齢によりダメージを受けることで、生じる病気だと考えられています。
また最近では、慢性腎臓病は「モルビリウイルス」というウイルスや、過度なワクチン接種により引き起こされるのではないかということが論文に出ています。
慢性腎臓病以外では、下記のような原因が挙げられます。
初期ステージと後期ステージで症状が異なります。
初期の段階では、飲水量と尿量の増加(多飲多尿)が見られます。
これは腎臓のおしっこを濾過する力が弱くなり、多尿状態になることで起こる脱水を改善しようとして多飲状態になることで生じる症状です。
また中期〜後期にかけては、老廃物が体に蓄積することにより食欲低下・体重減少・嘔吐の増加・口内炎の悪化・発作が見られることがあります。
血中クレアチニン(Cre)・血中尿素窒素(BUN)という腎臓マーカーの上昇を認めます。
この数値が上昇している段階で、腎機能の約70%以上が低下している状態と言われています。
これ以外では、より早期の腎機能悪化を反映するSDMAというマーカーもあります。
SDMAが上昇している段階で、腎機能の50%以上が低下していると言われています。
尿検査も早期の腎臓病の検出に重要な検査です。
腎臓病があればおしっこの濃さ(尿比重)の低下や、おしっこ中にタンパク質が認められます。
また、腎臓病の原因が結石や細菌感染ではないかを調べる目的もあります。
腎臓の内部構造を確認することで、腎臓のがんや結石が原因ではないかを調べます。
腎臓病が進行すると血圧が上昇してきます。
また、高血圧自体が腎臓病の悪化にもつながるため、血圧を調べます。
慢性腎臓病は腎臓のダメージが不可逆的(元に戻らない状態)になる前に残っている腎機能を保存したり、腎機能の悪化をできる限り遅らせることが目標になります。
腎臓病の猫で、まず最初に始める治療です。
腎臓の負担になるタンパク質やリンが少ない腎臓用のフードを食べてもらいます。
腎臓用フードは、一般的にあまり嗜好性(美味しさ)が高くないため、状態がそこまで悪化しておらず、食欲がある段階から変更していく必要があります。
ウェットタイプもドライタイプもあります。
高血圧症による腎臓病の悪化を予防する目的です。
内服薬で治療をします。
療法食はリンが少なくなっていますが、それでも血液中のリン濃度が高い場合は吸着剤という内服薬で治療をします。
腎臓病の子は、多尿状態なので脱水に落ち入りやすくなっています。
皮下点滴・ウェットフードの給餌などで、脱水改善・腎臓への血液量を増加させる治療をします。
腎臓で作られている血を作るホルモン(エリスロポエチン)が減少するため、エリスロポエチンを注射で補う治療をします。
ベラプロストという内服薬に腎臓の繊維化(ダメージ)の進行を遅らせる作用があります。
それ以外では、蛋白尿への治療・食欲不振への治療・サプリメントによる治療などがあります。
最近では、AIM製剤という新規治療薬が開発中で、実用化が待たれる状態です。
さらに、腎臓病の原因が慢性腎臓病ではない場合はそれぞれに対応した治療が必要になります。
たとえば尿管結石による腎臓病の場合は、結石を摘出する外科手術を実施することもあり、腎臓の悪性腫瘍の場合は、腎摘出や抗がん剤を実施することもあります。
いかがでしたでしょうか?
腎臓病は長生きする猫にとって、かなりの高確率で発症する病気です。
ある意味では持病として、腎臓病があっても元気に生活できるように、上手に付き合っていく必要があります。
ただし、腎臓病がまだ軽い状態から治療を実施した方が健康でいられる期間が増えますので、定期的な健康診断を受診・ご自宅での尿量・飲水量の観察など、猫が若いうちから意識していただけると幸いです。
また、慢性腎臓病は一生涯にわたる治療が必要になりますので、ご家族によるケアが必要不可欠です。
治療目標はご自宅の子が「ご飯も食べるし、元気やわ〜」という状態が少しでも長く続いてくれることです。
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2022.04.29
症例紹介
ふと愛犬の耳を見たときに「耳垢がたくさん付いている」「赤くなっている」「耳をよく掻いている」など、そんな経験はありませんか?
もしかしたら外耳炎という病気になっているかもしれません。
今回は、外耳炎についてお話したいと思います。どうぞ最後までお付き合いください。
外耳(耳の穴~鼓膜)に炎症が起きてしまう病気が外耳炎です。
痒みを伴うことがほとんどで以下のような症状が見られることが多いです。
・頭をよく振る
・耳を後ろ足でよく掻いている
・耳を地面や壁に擦りつけている
・耳の匂いがきつい
・耳の色が赤い
・耳垢が多い
頭を振る・耳を後ろ足で掻くなどの仕草は、外耳炎でなくても日常的に行う仕草なので、耳が痒いことが原因だと気が付かない方もたくさんおられます。
「普段より耳を気にしている回数が多いな」と感じたら外耳炎になっているかもしれません。
早めのご来院をオススメいたします。
また、重度になってくると痒みだけでなく強い痛みを伴い、以下のような症状が見られることもあります。
・耳の近くを触られることをひどく嫌がる
・耳の中から膿(黄色っぽいドロッとした液体)が出ている
・耳の皮膚が腫れて耳の穴が見えなくなる
重度になると治療に時間がかかることが多いため、早めに耳の異常のサインに気付いて病院につれてきてあげることが大切です。
外耳炎として以下のような原因が多く見られます。
・耳道内の蒸れ(耳毛が多い、耳が垂れている、外耳道が狭いなど)
・寄生虫(耳ダニなど)
・カビや細菌の増殖
・異物(植物の種や虫など)
・アトピーや食物アレルギー
・ホルモン失調
・腫瘍
生まれつきの犬種特有の性質として、以下のような性質を持つ犬種が外耳炎を発症しやすいと言われています。
・耳毛が多い(トイプードル、ビションフリーゼ)
・耳が垂れている(ミニチュアダックス、アメリカンコッカースパニエル)
・外耳道が狭い(パグ、フレンチブルドッグ)
・アトピーや食物アレルギーの好発犬種(柴犬、フレンチブルドッグ、シーズー)
外耳炎の治療は、炎症を抑えるお薬の点耳がメインになります。
耳垢が多い場合は、耳垢を取り除くために耳洗浄を行うこともあります。
鼓膜の奥(中耳や内耳)にまで炎症が起きている場合は、麻酔をかけての検査・治療が必要になる場合もあります。
また、異物がある場合は異物の除去、耳ダニなどの寄生虫の場合は駆虫薬、ホルモン失調であればホルモン療法など、個別の治療・管理が必要な場合もあります。
自宅で行う耳洗浄だけでは治らないことも多いので、耳を気にしている場合はできるだけ早めにご来院ください。
毎日のスキンシップとして、耳や顔周りを触って確認する習慣をつけてください。
正常な耳の見た目・匂い・耳垢の量・触られたときの反応などを知っておくことで、異常を早めに察知し、外耳炎を早期に治療することが可能となります。
特に外耳炎を発症しやすい特徴を持つ犬種は意識して見てあげてください。
耳垢がついている際は、軽度であれば優しくコットンなどで取ってあげるのが効果的です。
しかし、ゴシゴシ拭き取ろうとしたり、綿棒での掃除をしたりすることは耳を傷つけてしまい外耳炎の発症・悪化の要因となりやすいため厳禁です。
軽く見られがちですが、耳の痒みは非常に辛い症状のひとつです。
耳の中は外からは見にくい場所なので、飼い主様が痒みのサインに気付いてあげることが大切です。
普段から正常な状態を知っておくことで愛犬を守ってあげてください。
動物病院 京都は京都市北区にある動物病院です。
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2022.04.22
症例紹介
動物病院京都 獣医師の酒井宥太です。
今日は猫の「肥大型心筋症」について分かりやすく解説していこうと思います。
「心筋症」とは心臓の筋肉に異常を起こすことで生じる病気のことです。
猫の心筋症はいくつかのタイプに分類されますが、そのなかでも心臓の壁が分厚くなるタイプの心筋症を「肥大型心筋症」といい、猫の心臓病で最も多く見られる病気です。
心臓は心筋が拡張と収縮を繰り返して全身に血液を送る役割を果たしています。
肥大型心筋症になると心筋が肥厚してしまうため、心臓内腔が狭くなると同時に、心筋の柔軟性が落ちて動きが鈍くなります。
その結果、うまく全身に十分な血液を送れなくなってしまいます。
肥大型心筋症の有病率は、健康な猫で15%前後と報告されています。
また発症する年齢も、1歳未満の幼少期から高齢期の猫まで幅広いことも特徴です。
肥大型心筋症の猫では遺伝子に変異があることが確認されているため遺伝的な要因が関与していると考えられています。
好発猫種として、メインクーン、ラグドール、ノルウェージャンフォレストキャット、アメリカンショートヘア、ブリティッシュショートヘアなどが知られていますが、どの品種でも発症する可能性はあります。
またその他にも、高血圧症や甲状腺機能亢進症といった病気にも続発することがあります。
肥大型心筋症のほとんどは無症状であり、症状が出てくる場合は病気が進行しており緊急の処置が必要になる場合があるため注意が必要です。
症状にはいくつかあり、肥大型心筋症以外でも見られる症状なので、しっかりと診察、検査した上での診断が必要です。
・ぐたっとして、食欲がない
・遊んでいてもすぐに疲れる
・口を開けて呼吸する
・急に叫んで、後ろ足が動かなくなった
以上の症状がある場合は1度病院で詳しい検査をすることをおすすめします。
特に開口呼吸や後肢の麻痺などは緊急の状態の可能性も考えられます。
心臓のポンプ機能が低下することで、全身に血液を送ることができなくなり、胸腔や肺に水が溜まってしまう病態です。
開口呼吸やチアノーゼなどの症状が見られ緊急の処置が必要な状態です。
心機能の低下で全身に血液が送れなくなると、心臓内に血液が溜まっていきます。
血液は流れが悪くなると固まってしまうため、心臓内で塊(血栓)を作ります。
血栓が形成されると、血流にのり全身の様々なところに運ばれて細い血管に詰まってしまいます。
猫の肥大型心筋症では後肢の血流を阻害することが多く、後肢痛や酷い場合は後肢麻痺を起こします。
その他にも、腎臓の血管に詰まることで腎不全を起こしたり、脳の血管に詰まることで脳梗塞を起こす恐れもあります。
肥大型心筋症はほとんどが無症状です。
早期にこの病気を診断するには、以下の詳しい検査が必要になります。
心臓の拡大・胸水・肺水腫の確認
心筋の肥厚・左心房の拡張・血流の逆流の有無・血栓の有無を確認
脱水・腎不全・電解質異常の確認
内分泌の異常(甲状腺機能亢進症など)有無を確認
うっ血状態の確認
高血圧の確認
肥大型心筋症を診断された場合、残念ながら根治の方法はありません。
肥大型心筋症の治療は血管を拡張させたり、心臓の収縮力を強めたりするお薬を飲ませることで血行動態を改善させます。
胸水や肺水腫、血栓症といった命に関わる状態に陥りづらくすることで、猫の生活の質を維持することを目標にしています。
そのため多くは生涯に渡り、猫にお薬を飲んでもらう必要があります。
病気の進行によって、お薬の量や種類を調整しなければいけないため、定期的な心臓の検査が必要になります。
猫では肥大型心筋症の有病率が高く、さらに若い猫でも発症する可能性がある怖い病気です。
また初期にはほとんど症状が見られないので、「元気に過ごしているからうちの子は大丈夫!」ということでもありません。
この病気を見つけるためには、普段からよく観察しておくのも大事ですが、やはり心臓エコーを含めた定期的な検査が有用です。
特にまだ心臓の検査を受けたことのない若い猫も避妊、去勢手術前などの早い時期での心臓の検査をおすすめします。
動物病院 京都は京都市北区にある動物病院です。
一般的な町の動物病院としての役割のほかに、ねこ専門の病院があったり、骨折や脱臼などの整形外科手術の実績が豊富なことや、皮膚科の専門医診療など、より高度な獣医療も提供しています。
京都市西京区にも分院の動物病院京都 西京桂院があり、京都市内を中心に、飼い主様に寄り添った獣医療を提供しています。
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