2022.08.05
症例紹介
こんにちは。動物病院京都の院長、小川修平です。
みなさん、外科手術という言葉にどのようなイメージがありますでしょうか?
多くの方が「痛そう」「辛そう」「メスで皮膚を切る」などのイメージがあるかもしれません。
しかし、医療は日進月歩で進んでおり、最近の手術は「痛み」が少ない「低侵襲手術」というものに変わってきています。
本日は「低侵襲」というものについて説明していきます。
低侵襲という言葉は「身体への負担(侵襲)が少ない」という意味です。
低侵襲は動物よりも人間の医療で先に研究が進み、最近は動物の治療でも重視されることが増えてきました。
外科手術の場合は、「傷が小さい」や「切らない」などがイメージしやすいでしょうか。
これらを達成するために「腹腔鏡」や「内視鏡」を使用した治療を「低侵襲治療」と呼びます。
では、「傷が小さい」「切らない」ことのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
大きく分けると3つのメリットがあります。
1つ目は、「手術に伴う痛みが少ない」ことがあります。
身体は、皮膚や筋肉を切開したり、神経などに触れることで痛みを生じます。
そして、痛みが生じると、身体の交感神経という神経が働き、血圧が上昇し心拍数や呼吸数が速くなることで、全身に血液が行き渡りづらくなります。
血液が行き渡りづらくなると、臓器に十分な酸素が運ばれなくなり、臓器がダメージを受ける原因になります。
このように痛みが少ないという点には、体にとって大きなメリットがあります。
加えて2つ目、3つ目のメリットとしては、「消化管が外気に触れないことによる消化管ダメージの軽減」「身体の深い部分への手術アプローチが可能」などの利点があります。
ではこのような治療にデメリットがあるのでしょうか?
デメリットは大きく分けると「手術中の視野が狭い」「高度な技術を要する」の2つあります。
「手術中の視野が狭い」ことに関しては、開腹で広い範囲の腹部を見られるわけではなく、傷が小さい分視野も狭くなります。
狭い視野で手術をするということはそれだけ細かい作業や注意深さが必要です。
「高度な技術を要する」ことに関しては、実際の臓器を長い鉗子というもので操作をするため、細かい動きをイメージして鉗子を動かす技術や両手を同時に使用できる技術が必要になります。
これらが問題なければ低侵襲治療はメリットの大きい治療になります。
低侵襲治療はわんちゃんねこちゃんにメリットの大きい治療法になりますが、適応した方が良い場合とそうでない場合もあります。
ご興味のある方は、一度スタッフまでお尋ねください。
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