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【獣医師が解説】動物が引き起こすアレルギー性の皮膚炎について

2022.07.15

皮膚科

こんにちは。動物病院京都獣医師の坂口邦彦です。

皮膚に問題が起こると、かゆみで寝れなくなったり、ストレスが溜まったりして大変です。

体のかゆみを起こす皮膚病は色々ありますが、本日はアレルギー性の皮膚炎についてお話します。

 

アレルギーとは

人でもよく耳にする「アレルギー」という言葉ですが、どういうものかご存知でしょうか?

害がある微生物や異物が体に侵入した際に、それを排除するしくみが体には備わっています。

これを免疫と言います。アレルギーとは免疫が過剰に反応してしまう状態を指します。

 

アレルギー性皮膚炎の種類

アレルギー性皮膚炎には、以下のようなものがあります。

 

①アトピー性皮膚炎

アトピー素因(遺伝的要因)を持つ動物が環境因子(ハウスダストなど)にさらされ、本来無害なものに対して抗体が過剰に作られてしまうことで若齢期から発症し、春先から夏にかけてかゆみが悪化します。

主に四肢、耳介、眼囲、腋窩、鼠径部に皮膚炎が起こります。

 

②食事アレルギー性皮膚炎

無害なはずの食物に対して抗体を作ってしまうことでアレルギー性皮膚炎を発症します。

季節関係なく通年性にかゆみが起きます。発生部位は、口回りが多いと言われますが、明確にはなっていません。

 

③脂漏性皮膚炎

皮脂が過剰に分泌され、その脂をエサにしてマラセチア(酵母)が増殖し、皮膚が過敏反応を起こします。

主に四肢、耳介、眼囲、腋窩、鼠径部に皮膚炎が起こります。

 

④ノミアレルギー性皮膚炎

ノミが付着することで体に過敏反応が起きます。ノミの増える春先から夏に多く、主に腰背部に皮膚炎が起きます。

 

⑤疥癬アレルギー(通常疥癬)

疥癬に感染することで体に過敏反応が起きます。疥癬の増える春先から夏に多く、重度の痒みを伴います。

主に肘や腹部、耳介に起こります。

 

検査や治療について

皮膚炎の種類ごとに特徴があり、鑑別には飼い主様からの問診情報が重要になります。

「いつから発症しているのか」「季節性があるのか」「きっかけがあったのか」「かゆみの程度はどれくらいか」「痒がっている場所はどこなのか」などが重要な情報になります。

情報から皮膚炎の種類を推測したうえで、アレルギー検査で上昇している抗体がないか調べることもあります。

食事性を疑う場合には、除去食試験(特定のタンパク質をなしにするとかゆみがおさまるか)を行います。

アレルゲンが特定できた場合にはその排除が重要になります。

排除しつつ、かゆみをコントロールしていくために、外用や内服でのステロイド剤や、かゆみ止め、免疫抑制剤の使用、薬浴でのスキンケアを行います。

 

まとめ

アレルギー性皮膚炎には要因の排除で完治できるものもありますが、生涯付き合っていく必要があるものもあります。

適切に診断・治療を行い、できるだけかゆみで苦しまないようにしてあげたいですね。


動物病院 京都について

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一般的な町の動物病院としての役割のほかに、ねこ専門の病院があったり、骨折や脱臼などの整形外科手術の実績が豊富なことや、皮膚科の専門医診療など、より高度な獣医療も提供しています。

京都市西京区にも分院の動物病院京都 西京桂院があり、京都市内を中心に、飼い主様に寄り添った獣医療を提供しています。

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【皮膚病の動物に最適な治療!】薬浴について

2022.07.01

皮膚科

こんにちは。動物病院京都獣医師の坂口邦彦です。

暖かい時期になってくると「体が痒くてたまらない」といった犬の皮膚トラブルで来院される方が多くなってきます。

「痒がっているのは見ているだけでも辛い…」「でも極力お薬は飲ませたくない」と思う方もいらっしゃるかと思います。

今日は、皮膚病の治療に有効な薬浴についてお話します。

 

薬浴とは

犬や猫の皮膚は人と比べて薄く、毛に覆われており、外部要因(気温や湿度、微生物)や内部要因(体質、年齢、基礎疾患)の影響を受けやすいと言われています。

治療効果のあるシャンプーで皮膚をケアすることにより、極力投薬を減らし、健康な皮膚を維持することを目的とします。

 

どんな病気に最適なのか

下記の皮膚病でよく用いられます。

膿皮症

皮膚にブドウ球菌が異常に増殖した状態、赤や白のブツブツが出来たり、フケや脱毛がみられます。

皮膚炎

指間や頚部・腋・腹部皮膚の赤み、被毛の脂っぽさ

 

薬浴の流れ

①ぬるま湯で全体を濡らす。

②下洗いで大まかに汚れをおとす。

③薬用のシャンプー剤を手に取りしっかりと泡立てて、体全体になじませるように皮膚に揉みこむ。

④シャンプー剤をつけたまま約10-15分程度おく。

⑤ぬるま湯でしっかりとすすぐ。

⑥タオルで十分に水分を拭き取り、乾かす(理想は冷風で、熱風だと痒みの悪化を招く場合があります)。

 

病気の種類や重症度、気温・湿度、本人の体調によって最適な薬浴頻度は変わってきますので、本人の痒がり具合を見ながら調整していきます。

薬浴のやりすぎも逆に悪化を招くことがありますので、注意が必要です。

 

まとめ

皮膚病には、一過性のものでなく慢性的に継続するものが多くあります。

皮膚の状態を整えてあげることで、抗菌剤やステロイド剤などの使用を極力なくしていきたいと思っています。

全然症状が治まらなくてお悩みの際は、一度相談いただければと思います。


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【よくある動物の病気】皮膚の発疹・赤み・痒みについて

2022.05.20

皮膚科

暖かい時期になってくると皮膚のトラブルも増えてきます。

ひどい場合には痒すぎて寝れなくなったりもします。

人間でも痒いとイライラして精神的にも不安定になりますよね。

本日は、かゆみの原因についてお話しします。

 

皮膚の発疹などで考えられる病気

感染症・皮膚炎・腫瘍・内分泌疾患・免疫異常・精神性・先天性など様々な原因で皮膚の発疹は現れます。

皮膚のかゆみは、これらが単独で原因となっていることもあれば、色々絡んでいることも多々あります。

 

皮膚病の原因について

皮膚の発疹を起こす原因で特に多いのが、以下に記載する感染症と皮膚炎になります。

 

①感染症

膿皮症(細菌感染)・糸状菌症・ニキビダニ症

皮膚のバリア機能低下や免疫機能低下によって、皮膚に感染を起こすことで発生します。

皮膚にブツブツが出来たり、赤みや脱毛が起こります。

 

②皮膚炎

アトピー性・食事アレルギー性・脂漏性・ノミアレルギー性・通常疥癬

アレルギー物質が体に付着した時に、免疫が過剰に反応してしまうことでかゆみ・赤みが発症します。

 

ノミ・ダニについては下記のブログで詳しくお伝えしていますので、ぜひご覧ください。

 ノミ・ダニ予防の必要性

 

検査や治療について

感染症を疑う場合は、顕微鏡を用いた皮膚のスタンプ検査や抜毛検査で原因微生物を確認します。

治療として、必要に応じて抗菌剤や抗真菌剤、駆虫剤を用いたり、薬浴によるスキンケアを実施します。

皮膚炎を疑う場合の検査には、アレルギー検査や除去食試験があります。

皮膚炎は確定診断が難しく、飼い主様からの問診情報をもとに、動物の状態から判断します。

治療には、まず原因の排除、そして外用や内服のステロイド剤・免疫抑制剤を用いてかゆみのコントロールを行います。

 

まとめ

なかなか治らない皮膚病の場合には、原因が複雑に絡み合って発症していることがあります。

例えば、高齢で膿皮症を発症して全然良くならない場合に、腰の椎間板ヘルニアの痛みストレスで免疫低下を起こしていた、ホルモンバランスの崩れから免疫低下を起こしていたなどです。

良くならない場合には、その原因が必ずどこかに隠れています。

かゆみが治まらなくて悩まれている場合はそのままにせず、一度ご相談いただければと思います。


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 ノミ・ダニ予防の必要性

2022.04.15

皮膚科

犬や猫を飼われている方にとって一度は「ノミ・ダニ予防」という言葉を聞いたことはあるのではないでしょうか?

「街中でノミやダニを見る機会はあんまりないし、うちの子には無関係だ」と思われている方も多いのではないかと思います。

しかし、お散歩で草むらに飛び込んでいく犬はもちろん、お散歩にいかない犬や猫にとっても無関係な話ではないのです。

なぜなら、人の服や靴などにノミの卵やダニが付着して室内に持ち込まれ、知らない間に家の中で繁殖してしまうこともあるからです。

こちらのブログでは、下記の順番でノミ・ダニについての説明を行います。

  1. ①ノミ・ダニの生態について
  2. ②予防策について
  3. ③もし見つけてしまったら

①ノミ・ダニの生態について

ノミについて

犬や猫だけでなく、ノミは人を刺す事もあり、その部位に皮膚炎を起こすこともあります。

動物に寄生したノミの成虫は、その動物の体表からほとんど離れることなく、吸血と産卵(一日当たり20〜50個)を繰り返し、約3〜4か月程度生き続けます。

この間、寄生された動物たちはノミの寄生に悩み続けることになります。

 

人の服や靴などにノミの卵が付着して室内に持ち込まれ、知らない間に家の中で繁殖してしまうことがあります。

いったん家にノミの侵入を許してしまうと、完全にきれいにするのに大変な労力を要します。

目に見えるのは成虫になったノミとノミ糞だけで、残りは卵・幼虫・さなぎの状態で生活環境の中に潜んでいます。

ノミの卵の見つけ方はこちらの動画でも紹介されていますので、気になった方はチェックしてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=2m6AYbVrRv0

ダニについて

マダニに咬みつかれても痛みがないことが多く、犬は血を吸われていることに気がつきません。

痛みはないですが、マダニは多くの病原体を媒介し、命さえおびやかす病気にかかる危険性があります。

例えば、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱などは日本でも毎年問題になっているダニ媒介感染症の代表です。

マダニはやぶや草むらなどに生息し、人や動物にくっつく機会をうかがっています。

緑が多い場所ではとくに気をつけるようにしましょう

②予防策について

「草むらに入らなければいいのか!」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、ノミやダニはあなたの靴にくっついて、家の中に運ばれているかもしれません。

そのため、大事な家族である犬や猫をノミ・ダニの脅威から守るためには予防薬が必要です。

予防薬にもいくつか種類があるので、紹介していきたいと思います。

ちなみに、いずれの種類も月1回の投与を推奨されているものが多いです。

スポットタイプ

代表的な市販薬

  • ・フロントライン
  • ・レボリューション
  • ・ブロードライン

 

メリット

食べることが苦手な子でも、首に垂らすだけなので簡単です。

デメリット

足先には効果がないことや、皮膚の弱い子には投与できないことです。

食べるタイプ

代表的な市販薬

  • ・ネクスガード
  • ・クレデリオプラス
  • ・シンパリカ

メリット

効果発現までの時間が短い

デメリット

お薬飲めない子は飲むのが難しい

③もし見つけてしまったら

ノミは前述のとおり、1匹見つかればその何百倍の数も存在すると考えたほうがよいです。

見つけたらまずは家にいる全員分の駆虫(予防薬の投与)を行いましょう。

その上で、人間も被害を受けてしまう可能性があるため、家じゅうの環境浄化・駆虫(熱湯消毒、バルサン、塩素消毒、コロコロ、布製品の除去)を行います。

マダニの場合は、一度吸血を始めると皮膚から取り除くことは困難です。

無理に取り除こうとすることで、吸血用の棘が体に残され、腫れてしまうこともあります。

マダニは人にも危険な病原体を媒介することがあるため、犬についているマダニを見つけても無理に素手で取ろうとせず、動物病院に相談するようにしましょう 

さて、今回はノミ・ダニについて詳しく説明をさせていただきました。

ノミ・ダニ予防の重要性に少しでも気づいてもらえればうれしいです。


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