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前十字靭帯断裂、TPLO

2020.04.28

前十字靭帯とは、膝の中にある靭帯の一つです。前十字靭帯は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)に付着していて、歩くときに脛骨が前にズレないように後ろへ引っ張る働きがあります。そのため、前十字靭帯が完全に断裂(切れてしまうこと)してしまうと歩くたびに脛骨が前へズレて痛みが生じてしまい、足を着けなくなってしまします。

ヒトは、激しい動きをするスポーツ(バスケットボール、サッカーなど)中に前十字靭帯を断裂することが多いです。一方、イヌは特に激しく動くことがなくても、普通の日常生活を送っているだけで断裂してしまいます。その原因の一つにイヌの骨格の要因が考えられています。

TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)は、骨格を作り変えることで前十字靭帯が機能を失っていても歩くことができるようにする手術です。

術前
 

術後
 

術前は前十字靭帯が完全に切れてしまっているため、脛骨が前へ出ている状態でしたが、術後は脛骨が正常な位置へ戻っているのがわかると思います。(赤い線が脛骨の一番後ろのラインです)

前十字靭帯の手術には、他にも人工靭帯を使った関節外法などの手術があります。現在、犬では前十字靭帯の手術の中で、TPLOがもっとも術後の機能回復が良いと言われています。

前十字靭帯断裂の初期の頃は、症状がほとんどなく、症状があったとしても安静にしていれば2−3日で治ってしまうことが多いです。そのため前十字靭帯が完全に切れてしまうまで気づかないことが多々あります。そのため、少しでも歩き方がおかしいなと思ったら、すぐに動物病院へ相談されることをおすすめします。

動物病院 京都
獣医師 木村亮太

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