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心臓病の診断について|心臓病の検査内容を獣医師が解説

2024.07.09

こんにちは。
動物病院 京都 獣医師 尾関康江です。
「心臓に雑音があるって言われたけれどどんな検査をするの?」
「麻酔をかけずに心臓の検査ってできるの?」
「愛犬・愛猫に負担がなく受けられるの?」
といった疑問をおもちではないでしょうか?

今回は、

  • 心臓の検査内容
  • 心臓の検査でどんなことが分かるのか
  • 自宅でチェックできる方法

について解説します。
是非、最後までお読みいただき動物病院で安心して検査を受けていただければと思います。

心臓の検査

心臓病が疑われた場合は次の検査が必要になります。

  • 聴診(身体一般検査)
  • 血圧測定
  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 超音波検査
  • 心電図検査

基本的にはどの検査も体への負担は少なく、通常の診察で行うことができます。(当院では犬猫の状態に応じてお昼間の間お預かりにて検査させて頂くことがあります。ご了承下さい。)聴診で心雑音や不整脈の異常を聴取することができますが、病気や重症度によって治療内容が異なるため、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断します。それぞれの検査について説明したいと思います。

聴診

聴診器を使って犬猫の心臓の音や肺の音を聴取します。この時に異常な音(心雑音)が混じっていないか、不整脈はないか確認します。一部正常な場合に聴こえることがありますが、一般的には心臓の部屋や心臓を隔てている弁になんらかの異常がある場合に生じます。

血圧測定

血圧測定というと、人が健康管理をするために測定するイメージですが、犬猫でも測定できます。心臓に負担がかかっていると血圧が高くなり他の臓器に影響を与えることがあります。血圧を下げる必要があるかどうかの指標に血圧測定をします。

心臓病以外にも腎臓やホルモンの病気などでも測定されます。

血液検査

心臓病にかかると血液検査でも変化が見られます。NT-proBNPやNT-proANPと呼ばれる心臓への負担が分かる特別なバイオマーカーがあります。症状がない段階でも高値を示す場合は、心臓病のリスクがある可能性が考えられます。また心臓病の治療によって心臓の負担が減れば、値が下がるため治療反応の評価にも使われます。

レントゲン検査

レントゲン検査はX線を使って体の中、特に心臓病では胸を見る検査です。心臓の大きさ、肺の状態を確認します。また、心臓病以外の呼吸器疾患(喉、気管、食道)の異常がないかも探索します。

超音波検査

超音波検査は心臓の動きをリアルタイムで確認する検査です。心臓病の診断(どんな種類の心臓病なのか)や心臓病の重症度判定(どれくらい重症な心臓病であるか)をします。超音波検査によってどのような薬が必要か、この後どれくらい生きられるかといったことが判断できます。

心電図検査

心電図検査は心臓の電気信号を波形として記録する検査です。心臓は拍動する時に微妙な電流を流します。この流れのリズムに異常がないかを確認します。

注:どの検査も基本的には麻酔をせずに行うことができます。ただ、犬猫の性格によっては負担を軽減するために鎮静剤を使用させていただく場合があります。

注:正確な検査を実施するために、検査部位を毛刈りさせていただく場合があります。

自宅でチェックできる方法

心臓病の初期には症状が現れにくく、症状が出てから一気に悪化する場合が多いです。このため、早期発見、早期治療がすすめられます。心臓病が疑われる時の自宅でのチェック項目に以下のようなものがあります。

  • 心臓の音を確認する
  • 心拍数を測る
  • 呼吸数を測る
  • 散歩時の様子を確認する
  • 咳をしているか

それぞれ解説します。

心臓の音を確認する

心雑音の有無は基本的に聴診器で確認します。ただ、犬猫を抱っこしている時に違和感を感じる方もいらっしゃいます。「ザーッ、ザーッ」「ドシャー、ドシャー」といういつもと違う音が聴こえた場合は、早めに動物病院を受診して下さい。

心拍数を測る

犬猫が安静にリラックスしている時に1分間の心拍数を測定します。安静時の成犬、成猫での心拍数は、小型犬で60〜80回、大型犬で40〜50回、猫で140〜220回が正常といわれています。心拍数の測定は犬では横になった状態で、左胸に手を当てます。猫では体を優しくかかえ股間から太ももの内側に沿って触り拍動が触れる所で測定します。

呼吸数を測る

心臓病になり心臓の状態が悪くなると呼吸数が上がります。安静時1分間の呼吸回数は、小型犬で20回前後、大型犬で15回、猫で20〜40回(寝ている時は15〜25回)です。息を吸った時に胸が膨らみ、吐いた時にへこむ一連の動きを1回とし、1分間に呼吸した回数を数えます。個体差や外気温によって違いはありますが、40回を超えた場合は早めに動物病院を受診して下さい。

散歩時の様子

心臓に負担がかかると疲れやすくなります。「散歩の時間が短くなった」「散歩の途中で座り込んでしまう」「遊んでいる時間がいつもより短い」などの症状が分かりやすいものです。猫の場合は分かりにくいかもしれませんが、ベットの上で休んでいることが多いといった症状があります。

咳は犬によく見られる症状です。痰が絡んだ様な、アヒルの鳴き声のような咳が特徴的です。猫では進行した心臓病で咳が見られますが、初期では「食欲がない」「何となく元気がなさそう」といった症状が多く認められます。

まとめ

心臓病は初期では症状があまり出ないことが多いです。早期に病気を発見し、病気に応じた治療をすることで進行を遅らせることができます。診察で検査をすすめられた飼い主さんはもちろん、健診を受けようとお考えの飼い主さんも是非安心して検査を受けて下さい。当院では外部の専門医と連携した循環器外来を設けており、より適格な診察・治療を心がけています。何かご不明な点がありましたらスタッフまでお声がけ下さい。

動物病院 京都 
獣医師 尾関康江

動物病院京都 本院は、年中無休で診察を行っております。
TPLOなど、整形外科における高難易度手術に対応。わんちゃん・ねこちゃんの負担にならないような手術・治療を心がけています。気になる症状がございましたらいつでもお問い合わせください。

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