2024.06.11
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こんにちは。
動物病院 京都 獣医師尾関康江です。
気温がぐんぐん上がり、汗ばむ日が増えてきましたね。
今日はそんな夏場に注意したい熱中症についてお話したいと思います。皆さんはわんちゃんにどんな暑さ対策をしておられますか?
わんちゃんはヒトと同じように気温や湿度が高い環境では熱中症になる可能性があります。体温機能が上手く働かなくなり、体温が高い状態が続き脱水になることで生じる疾患を指します。
ヒトは全身で汗をかいて体温を下げることができます。対するわんちゃんは、体の一部でしか汗をかけないので、パンティング(はぁはぁと口で呼吸するしぐさ)をすることで体温を下げようとします。それでも気温や湿度が高かったり、気道に問題がある(例えば短頭種のわんちゃん)場合はうまく蒸散できずに熱中症になります。
気温が高い状態がつづくと体の中の蛋白質が変性し、臓器に影響が出てきます。さらに水分や塩分が体に届かなくなると多くの臓器に機能障害(多臓器不全)が出て、最悪の場合は死に至ることもあります。
暑い時期にエアコンなど冷房器具をつけずに締め切った室内に置いて出かけた際に発症することがあります。また自動車の中でも発症することがあります。窓を開けていたとしてもあまり気温が下がることがありませんので、短い間であっても車内に残すことは危険です。
暑さのピークは7、8月頃ですがわんちゃんの適温は大体20~23℃、湿度50%と言われています。この為今の時期でも油断せずに暑さ対策を始めてあげましょう。
暑い時間のお散歩は熱中症のリスクが高くなります。暑い時間帯のアスファルトは50から60℃まで熱せられると言われています。地面との距離が近いところにいるわんちゃんは、地面からの熱を直接受けやすいです。また、肢の裏をやけどしてしまう事がある為、お散歩に出られる時間帯には気をつけてあげましょう。
運動することによって体温があがります。夏場の運動はわんちゃんにとっては負担になることもあります。これは先にもお話したようにわんちゃんは上手く汗をかくことができないので運動後の体温調節がとっても大変です。ドックラン、キャンプなど屋外にお出かけの際は運動以外に興奮することも体温上昇につながりますので、気を付けてあげましょう。
夏場が苦手なわんちゃんもいます。例えばパグやフレンチブルドックさんなど短頭種と呼ばれる子達は鼻や気道の問題で、また、シェットランド・シープドック、ボルゾイ、ハスキーさんなどは厚い被毛に覆われている為熱を逃がすことが苦手です。また肥満、心臓、呼吸のトラブルをかかえているわんちゃんも熱中症になりやすいとされていますので注意が必要です。さらに高齢で認知症の子は水飲み場が分からず、吠え続けて体温が上がることがありますので日頃から気を付けてあげましょう。
といった症状を示します。
また状態が進行すると、かなり危険な状態になり
命の危険を伴いますので、なるべく早く動物病院を受診するようにしましょう。
まずはわんちゃんを涼しい場所に移動させ体温を下げる処置をしましょう。それからすぐに動物病院に連絡をして受診できるようにしましょう。
水をかける場合は、ショックを避ける為足元から冷やしていきましょう。冷たいお水は血管を収縮させ、かえって臓器のダメージが進むことがあるため、常温のお水をかけましょう。
濡らしたタオルで全身を包み、風を起こると効果的です。
頸動脈(首の喉側)、脇の下(前足の付け根の内側)、鼠経部(後ろ足の付け根の内側)など太い血管があるところを冷やすとより効果的です。保冷剤は直接冷やすと低温やけどになることがありますので、タオルなどで包んで使用しましょう。
少しずつ水を与えます。飲まない、または喉を上手く動かせない場合は窒息することがある為難しい時はひかえましょう。
冷房器具を利用して室内を最適な温度に保ちましょう。場所によっては温度差が出ますので、扇風機や冷風機を利用して空気が循環できるようにしましょう。
また直接日光も熱中症のリスクを高めますので、カーテンなどをして日差しが入らないようにしましょう。
ペット用のクールマットなどを敷いてわんちゃんが居る場所を涼しく保ちましょう。また、凍らせたペットボトルをタオルで包んで保冷剤の代わりに使用するのも良いですね。
室内に数か所お水を置いておき、常に飲水できる環境をつくってあげましょう。
保冷剤の入れられるウェアや水で濡らすと冷えるウェアの利用が効果的です。また、こまめに水分補給できるよう室内に数か所給水所を設置してあげましょう。お散歩やおでかけの時間帯の工夫も大事ですね。早朝や夕方以降の気温がさがった時に出たり、日陰の道やなるべく芝生や土の上をお散歩するのがおすすめです。
被毛が長い分熱がこもりやすくなります。夏場の暑い時期に毛を短くすることで風通しがよくなります。また、ブラッシングをして冬毛を取り除いてあげることも良いですね。
熱中症になるのは実はわんちゃんだけではないんです。ねこさんも熱中症になるのですが、わんちゃんと違って見極めるのが難しい場合があります。というのはわんちゃんは暑い時に口を開けてはぁはぁとパンティングをしますが、ねこさんが口を開けて呼吸している時には熱中症が進行している可能性が高いのです。少しでもいつもと様子が違う場合は早めに動物病院を受診する様にしましょう。
わんちゃんやねこちゃんは言葉が話せるわけではないので暑いという意思表示ができません。この為日頃から暑さ対策をして注意をしてあげましょう。万が一、熱中症を疑わせる症状が出た場合は応急処置をして、なるべく早く動物病院を受診する様にしましょう。暑い日が続いていますが、わんちゃんやねこちゃんと共に飼い主さんも体調崩されませんようにお過ごし下さいね。
動物病院 京都
獣医師 尾関康江
動物病院京都 本院は、年中無休で診察を行っております。
TPLOなど、整形外科における高難易度手術に対応。わんちゃん・ねこちゃんの負担にならないような手術・治療を心がけています。気になる症状がございましたらいつでもお問い合わせください。