2022.06.17
症例紹介
目次
こんにちは、動物病院京都 獣医師の酒井です。
今回は、犬と猫の誤食・誤飲についての対応を説明します。
誤食・誤飲とは、犬や猫が中毒性のあるもの(ネギ、チョコレートなど)や食べ物以外のもの(おもちゃ、ウレタンマットなど)を誤って飲み込んでしまうことです。
中毒の症状としては食べたものによりますが、下痢嘔吐などの消化器症状から急性腎不全・痙攣発作など、緊急の症状を示すものがあります。
また、おもちゃなどを飲み込んでしまった場合は、消化管に詰まってしまうことで何度も吐き戻しが見られることがあります。
犬は、多くが好奇心旺盛で興味の惹かれるものを見つけると匂いを嗅いだり口の中に入れて確認する習性があります。
その際に飼い主様が焦って取り上げようとすると「大切なものを取られまい」とそのまま飲み込んでしまうこともあります。
また飼い主様が口にする食べ物や薬なども興味を持ちやすく、それを見ていることで誤飲につながることがあります。
猫は犬と比べ、口に入れるものを選ぶ傾向があるので誤食は比較的少ないですが、おもちゃで遊んでいて誤って飲み込んでしまったり、ウェットタイプのフードを包装ごと食べてしまったりすることがあります。
また、猫に見られる特徴的な異物として、ひも状異物があります。
ひも状異物は他の異物に比べ危険性が高くなる傾向があるので注意が必要です。
基本的に、異物を飲み込んでしまった場合は早めに病院を受診するようにしましょう。
中毒を起こさない食べ物を誤食してしまった場合は、様子を見ても問題ない場合がありますが、普段食べ慣れていないものを食べたことで下痢や嘔吐などの消化器症状を起こすことがあるので、少しでも様子がおかしいと思ったらすぐに病院に連絡しましょう。
病院で実施する誤飲・誤食に対する検査としてはレントゲン検査、超音波検査、血液検査があります。
ねじや針などの金属、ある程度の大きさがある骨などを見つけるのに有効です。また異物で変形した消化管も確認することができる場合もあります。
胃の中にある異物や消化管に詰まった異物を検出することができます。また閉塞により消化液が消化管内に貯留してることも確認できます。
誤飲による嘔吐で脱水や電解質異常が起きていないか、また中毒により腎機能、肝機能は大丈夫かも確認します。
治療法については誤飲してからの時間や症状によって選択されます。
吐き気を催すお薬を注射することで胃の中にある異物を吐き出させる方法です。誤飲してすぐの場合で、食道などに引っかからず安全に吐き出せる異物に対して選択されることが多い治療法です。しかし、猫や病院で緊張しやすい犬はなかなか嘔吐してくれない場合もあります。
胃カメラを使用し、食道や胃の中の異物を取り出してくる方法です。催吐処置で嘔吐しなかった場合や、針などの吐かせると消化管を傷つける可能性がある危険な異物の場合に選択される治療法です。全身麻酔が必要ですが、基本的には日帰りでの実施が可能です。
開腹後に、消化管を切開して異物を取り出す方法です。内視鏡で取り出せない異物やひも状異物など、消化管に絡まって内視鏡で取り出すのが危険な場合に選択される治療法です。この治療法が選択される症例の多くは、異物により消化管が閉塞して頻回の嘔吐が見られ、緊急の手術になることがほとんどです。術後しばらくは流動食になるため、数日間の入院が必要です。
誤飲に対する一番の対策は、普段から誤飲の起きないような飼育環境を整えることです。
動物が食べそうなものは片づけてしまい、おもちゃなどもほつれにくいものや飲み込めない大きさのものを選びましょう。
小さなおもちゃや紐のついたものは出しっぱなしにはせず、飼い主様がいるときだけ遊んであげるようにし、遊び終わったら手の届かないところにしっかり片づけてください。
またストレスなどでも、異物を舐めたり噛んだりする動物もいます。
飼育環境を見直してストレスが溜まっていないか確認してあげることも大切です。
犬の場合はお散歩の時間が少なかったり、猫の場合は逆に構いすぎることもストレスを抱えてしまうので注意が必要です。
誤飲・誤食の対策はとにかく飲み込みそうものを片づけることですが、やはりちょっと目を離したすきに噛んだり舐めたりといったこともあります。
しかし、異物による中毒症状や消化管の閉塞は最悪の場合、命を落とす危険性もあります。
万が一、犬や猫が誤飲・誤食してしまった場合は、急いで病院を受診してください。
その際、獣医師に「どんなものを」「いつ」「どのくらい飲み込んだのか」を伝えるようにしましょう。
もし「はっきり分からないが、何かを飲み込んだかもしれない」という場合も、早めに病院を受診することで安心につながるので、遠慮なくご連絡していただければと思います。
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