整形外科

いつまでも自分の力で歩けるように

ヒトでは歩行速度が早いほうが、健康寿命が長いと言われています。

動物でも寝たきりになると様々な体への弊害が出てきてしまいます。

将来、寝たきりにならなために当院では様々な取り組みを行っています。

【当院での取り組み】

①四肢の痛みや跛行(足を引きずる)の徹底した原因究明

②適切な治療法の選択

③リハビリテーション

跛行の原因は様々ありますが、大別すると、関節、骨、筋肉、神経の病気に分けられます。1つだけの事もあれば、複数が組み合わさって、症状が出ることもあります。整形外科疾患は、適切な診断、治療、リハビリテーションをおこなうことで、初めて足の機能が回復し、健康に歩くことが出来るようになります。

 

〜代表的な整形外科疾患の紹介〜

目次

・骨折

・前十字靭帯断裂

・膝蓋骨内方脱臼

・レッグ・カルベ・ペルテス

・股関節脱臼

 

骨折

橈骨と尺骨は、前肢の手根関節(手首)と肘関節の間にある骨です。橈骨と尺骨の骨折は、小型犬で多く発生し、橈骨、尺骨とも同時に骨折する場合がほとんどです。地面に前肢を着くことで生じた荷重は、手根関節を介して橈骨と尺骨に伝達されます。その荷重のほとんどは橈骨が支えており、尺骨は骨端部(骨の端)で荷重を少し支えている程度です。このため、橈骨と尺骨の骨折の治療は橈骨を治癒させることが目的になります。

治療法には、外固定、外科療法(手術)があります。治療法は、骨折の種類、患者の状態、ご家族の意向などを総合的に判断して決定していきます。多くの場合、犬や猫の骨折の治療には手術が必要になります。当院では、橈骨と尺骨の骨折の手術にはプレート固定を行うことが多いです。

[プレート固定で治療した症例]

術前

 

術後

 

 

前十字靭帯断裂

前十字靭帯とは、膝の中にある靭帯の一つです。前十字靭帯は、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)に付着していて、歩くときに脛骨が前にズレないように後ろへ引っ張る働きがあります。そのため、前十字靭帯が完全に断裂(切れてしまうこと)してしまうと歩くたびに脛骨が前へズレて痛みが生じてしまい、足を着けなくなってしまします。

ヒトは、激しい動きをするスポーツ(バスケットボール、サッカーなど)中に前十字靭帯を断裂することが多いです。一方、イヌは特に激しく動くことがなくても、普通の日常生活を送っているだけで断裂してしまいます。その原因の一つにイヌの骨格の要因が考えられています。

前十字靭帯断裂の治療法には、内科療法(保存療法)と外科療法があります。治療法は、患者の状態、ご家族の意向などを総合的に判断して決定していきます。

TPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)は、骨格を作り変えることで前十字靭帯が機能を失っていても歩くことができるようにする手術です。現在のところ、京都府下でこの手術を行っている病院は当院が唯一です。

前十字靭帯の手術には、他にも人工靭帯を使った関節外法などの手術があります。現在、犬では前十字靭帯の手術の中で、TPLOがもっとも術後の機能回復が良いと言われています。

術前

 

術後
 

術前は前十字靭帯が完全に切れてしまっているため、脛骨が前へ出ている状態でしたが、術後は脛骨が正常な位置へ戻っているのがわかると思います。(赤い線が脛骨の一番後ろのラインです)

 

膝蓋骨内方脱臼

膝蓋骨とはいわゆる「膝のお皿」のことです。膝蓋骨は大腿四頭筋の中にあり、大腿四頭筋の力を脛骨へしっかりと伝える働きがあります。大腿四頭筋は膝関節を伸ばす働きを持っているため、膝蓋骨が正常に機能していないと膝が伸びなくなり、挙上(足を挙げること)したり、跛行(足を引きずること)したりするようになります。

 

トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャテリア、マルチーズなどの小型犬では、膝蓋骨の内方脱臼が多くみられます。内方脱臼とは、膝蓋骨が正常な位置よりも内側に位置している状態のことで、元に戻ったり外れたりを繰り返します。

治療法は、年齢、症状の程度、骨格の変形度合いなどによって異なります。ほとんどの症例では、サプリメントの服用や生活環境の改善など内科治療(保存療法)が適応になります。若齢であったり、症状がひどかったり、骨格の変形がひどい場合には外科療法(手術)が必要になります。

 

レッグ・カルベ・ペルテス病

ヒトの難病である「特発性大腿骨頭壊死症」に類似した疾患です。大腿骨頭や骨頸に非炎症性無菌性壊死が起こることで、股関節が変形し、疼痛を示すようになります。小型犬(10kg未満)の罹患率が高く、3-13ヶ月齢(特に5-8ヶ月)で好発します。ほとんどは片側性ですが、10-17%は両側性に発症します。原因はまだ解明されておらず、ホルモンの影響、遺伝的素因などが提唱されています。症状は、跛行(足を引きずる)、股関節の伸展痛、股関節の可動域の減少、筋萎縮、股関節周囲の過敏症、股関節の捻髪音、食欲減退、股関節周囲の皮膚を咬むなどです。症状の多くは関節が変形することで発現するため、初期の頃は症状がわかりにくいことがあります。

治療法は主に、内科療法、外科療法(大腿骨頭骨頸切除術、人工股関節全置換術)があり、股関節の状態、患者の状態、ご家族の意向などを総合的に判断して決定していきます。内科療法で改善することは稀なため、ほとんどの場合で外科療法が必要になります。

[大腿骨頭骨頸切除術を行った症例]

術前

術後

 

股関節脱臼