目の病気と思いきや 2018年3月

こんにちは。

動物病院京都 獣医師の坂口邦彦です。
暖かくなってきたな、と思えば寒の戻りで急にまた冷え込んだりと気温が落ち着きませんね。こういった季節の変わり目は体調を崩しやすい時期ですので、人も動物も注意してくださいね。

私、獣医師 坂口邦彦は、日本の獣医の眼科学会である、比較眼科学会に所属し、下痢嘔吐、予防接種など様々な一般診療はもちろん、眼科にも力を入れながら診察をしています。
眼科学会にも所属していながら、日々眼科の動物さんたちを診ているなかで、本日は目の問題を主訴に診察に来たけど実は、、、だった、という症例を紹介します。

目の問題というと、目が赤い・目が痛そう・目が白くなってきた、などの相談が比較的よくあります。こういった問題に遭遇したことがある飼い主様も多いのではないでしょうか。
本症例は瞳孔が開きっぱなしで閉じない、という相談で来られた10歳の猫さんです。お近くのところで、血液検査など色々調べたが、特に異常はみつからなかったとのことでした。

 

猫を飼っている方は、猫の瞳孔がまんまるに開いたり、細長く閉じるのをよく見かけると思います。瞳孔というのは目に入る光量を絞るためのもので、環境が暗くなると開き気味になります。おもちゃで遊んであげると、獲物を追うのに必死で興奮して開きっぱなしになったりもしますね。
正常な瞳孔の動きでは、光を目に浴びせると、開いていたとしても反射で瞳孔が小さくなります(対光反射)。光を当てても瞳孔が小さくならない場合は基本的に何かしらの異常が起こっています。光を制限しようとする動きがでてこないということなので、光をそもそも感じなくなっているか、瞳孔が動かなくなるような問題が起きているということになります。

 

今回の症例の子は、光を当てても瞳孔は閉じない(対光反射消失)のですが、目の前で手をちらつかせるとまばたきをしました(威嚇反射あり)。つまり、瞳孔は動かないけど、見えているという状態です。こういった場合に考えられることは、網膜は機能しているが、瞳孔を動かせない問題が起きているということになります。瞳孔周囲の筋肉が動かないか、瞳孔を動かす神経(動眼神経、脳)がおかしいかに絞られてきます。


身体検査だけでもある程度どこに問題がありそうかを絞ることができ、後日にMRI検査に行ってもらい頭に異常がないかを調べました。すると、脳の下垂体から動眼神経の走行に一致するように腫瘍と思われる病変がみつかりました。

瞳孔が開きっぱなしという主訴で目の問題かと思いきや、実は脳に腫瘍ができていたという症例でした。

 

瞳孔が開きっぱなし、目が緑に見える(瞳孔が開いたままだと眼底が見えて緑っぽく見えることがあります)といった症状は、網膜の萎縮、緑内障や高血圧からの二次的な網膜障害によっても起こります。光を感じなくなったせいで、瞳孔が反応しないという状態です。ミニチュアダックスフンドで遺伝的におこる進行性網膜萎縮でもこのような症状がでますね。

 

目が普段と違うなと思うような変化があった場合、目だけでなく、他のどこかに異常があって、それを反映しているということが多々あります。あれっ?なにかいつもと違うような、、、と言ったことに気が付かれた場合、急速に症状が進行してくることもありますので、早めに病院連れてきてあげて下さいね。

マダニの話 2017年8月

こんにちは。動物病院京都 獣医師の坂口邦彦です。

当院では、8月24日(月)より夜間救急受付を開始しています。
これまでも主に当院の飼い主様を中心に夜間診療を受け付けしておりましたが、これからは京都市内にお住まいの皆様へ対応していこうと思っております。

当院は、京都市北区、右京区、上京区の区境の西大路通り沿いにある本院と、上京区にねこ専門病院である動物病院京都 ねこの病院があります。夜間救急診察は本院にて対応しており、猫の病院の夜間救急についても動物病院 京都 本院にて カルテも共有し実施しております。日頃、動物病院 京都ねこの病院に通院されている方で、夜間の容態が変化した場合は、本院にお問い合わせ下さい。

 

さて先日、野良猫に噛まれた女性が重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に陥って亡くなったというニュースをご覧になった方も多いかと思います。これはマダニからの感染症が哺乳類を介して感染した世界初めてのケースになります。

ここ最近、毎年夏になると、この病気のことがテレビでよく出てきます。マダニが媒介すると言われているウイルスの感染症で、特効的な治療やワクチンはなく、対症療法のみで治療するため、致死率は30%にも至ります。

夏になると、ペットを連れてキャンプに行くこともあるかと思います。お外へ散歩へ行って、公園でマダニを拾ってくるかもしれません。人間も動物もしっかりしたノミ・マダニへの予防が必要になります。ノミ・ダニは春から夏にかけて増えますが、冬場にも発生しますので、年中予防が理想になります。

ノミ・マダニの予防薬は、おやつ型の食べるタイプ「ネクスガード」や、3ヶ月連続で効果を発揮する「ブラベクト」、液体を背中に垂らすタイプ「フロントライン」などがあります。ネクスガードだと消化管で吸収されて、血流に乗って爪の先まで薬が届いてくれますが、食べた直後に吐いたりするともちろん効果がでません。フロントラインだと、背中に垂らして皮脂腺を通して全体表面に広がるので、末端部分の防御が弱くなる可能性がありますが、垂らすだけなので簡単にできます。その子その子に応じてどちらかを選んであげると良いかと思います。うちの子にはどうしようかな?と言う場合は気軽にご相談下さい。

 

動物病院 京都
獣医師 坂口邦彦

よく遭遇する眼の病気について

こんにちは。
京都市北区にある動物病院 京都 獣医師の坂口邦彦です。当院は、京都市北区、右京区、上京区の区境の西大路通り沿いにあります。また、上京区にはねこ専門病院である動物病院 京都 ねこの病院があります。

今年ももう半分が過ぎ6月となりました。新生活が始まった方も落ち着いてきた時期かと思います。ねこさんも繁殖シーズンから子育ての時期となり、保護されて連れて来られることが多くなってきています。

保護された仔ネコさんがこの時期には来院され、感染症からの結膜炎を起こしているこが多くいます。

今回は犬や猫で比較的よく遭遇する眼の病気についてお話しようと思います。

 

・目が赤いんです。
・目が痛そうなんです。
・目やにが多いんです。
・目が白いんです。
・目が見えていない気がします。

 

目についてのよくある主訴はこのような感じです。
しかし、同じ主訴だからといっても同じ病気というわけではなく、様々な病気があります。

 

例えば、目が赤いといった時にどんなことが考えられるでしょう。おそらくこの、目が赤いという症状は、飼い主さんが一番よく遭遇する症状かと思います。
目が赤いと聞いた時に大事になってくるのは、まず目の表面が赤いのか、眼の中が赤いのか。目の表面が赤いとしても、結膜・強膜(いわゆる白目)が赤いのか、角膜が赤いのか。片目なのか両目なのか。

 

こういった状態を引き起こす病気は多々ありますので、正確に原因を診断していくことが重要になります。表面の赤みがある場合、充血や血管新生が起きています。しかし、原因としては、感染、外傷、慢性的な刺激、ぶどう膜炎、緑内障と多岐に渡ります。

眼に問題が現れた場合、眼だけの問題だけでなく、感染症や腫瘍、内分泌異常などの全身疾患からの影響の一端であることもありますので、全身状態への注意が必要になります。

放置することで取り返しのつかないことになることもあります。保護したばかりの子猫で眼が真っ赤に腫れていると、ひどければ眼球と眼瞼が癒着する所まで至ってしまうこともありますので早めに動物病院へ連れて行ってあげて下さいね。

 

 

動物病院 京都

獣医師 坂口邦彦

院長 園田、交通事故のため、院長園田の診察のみしばらくの間休診させて頂きます。

院長 園田が交通事故で全治数週間の怪我をおったため

しばらくの間、院長 園田の診察を休診させていただきます。(診察はしておりませんが、出勤していることはあります。)

それに伴い、他の獣医師の出勤に変更が伴う可能性があります。

尚、院長は怪我が回復次第、外来に復帰する予定です。
(おおよそ1~2週間の予定です。)

 

皆様には大変ご迷惑をおかけ致します。ご理解の程宜しくお願い致します。

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猫のフィラリア症について

こんにちは。
京都市北区にある動物病院 京都 獣医師の 坂口邦彦です。
当院は、京都市北区、右京区、上京区の区境の西大路通り沿いにあります。また、最近では、上京区に新たに、ねこ専門病院である、動物病院 京都 ねこの病院を開院いたしました。

暦では春となり、肌寒い中にもぽかぽかした陽気が照ってきましたね。フィラリア予防や狂犬病ワクチン接種など予防のシーズンになりました。

フィラリア症(糸状虫症)と言えば犬の予防と思っている方は多いと思います。最近では犬のフィラリア症予防は広く浸透し、感染率は過去に比べてかなり下がって来てくれています。

では、猫の感染率はどうなのでしょうか。

犬糸状虫の最終の宿主は犬で、猫は感染幼虫に抵抗性を持っていたり、感染猫は感染犬と比べて成虫の数が少なく、感染猫での成虫の寿命も短いなどの理由から、猫の感染率はその地域の犬の感染率の10-20%と言われてきました。しかし、この数値は実際の感染率より低く見積もられていると、今では考えられています。犬に比べて予防薬が投与されていることが少ない猫ではいつの間にか感染してしまっていて、症状が突然でてくるということがあります。
猫に犬フィラリアが感染すると、心臓だけでなく、脳に迷入することもあります。症状としては、発咳や運動したがらない、場合によっては痙攣発作などを生じることがあります。

他の病気でもそうですが、猫は症状に現れにくいので、予防が何よりも肝心です。
当院近くにお住いの猫さんでの感染も実際に確認していますので注意が必要です。

フィラリア症はノミ・ダニ予防とあわせたお薬で投薬でき、1ヶ月に1回の予防でほぼ防ぐことが出来ます。予防されていない猫さんは一度、フィラリアの抗原検査(血液検査)を行ってからお薬の処方を行いますのでご来院のうえ、ご気軽に相談下さい。

 

動物病院 京都 
獣医師 坂口邦彦

 

 

 

てんかん発作のお話 2017年3月

こんにちは。
京都市北区にある動物病院 京都 獣医師の 坂口邦彦です。
当院は、京都市北区、右京区、上京区の区境の西大路通り沿いにあります。また、最近では、上京区に新たに、ねこ専門病院である、動物病院 京都 ねこの病院を開院いたしました。

さて、今日は脳からの問題、てんかんについてお話していきます。

急に発作が起きたんです!
発作と言われただけだと、失神したのか、けいれんが起きたのか判断はできません。そのため、詳しくお話を聞いていくことになります。
脱力していたなら心臓の問題が考えられますし、身体が硬直したり手足がバタバタしていたなら脳からの問題が考えられます。

もし急にけいれんが起きたら驚いてしまい、どうしたら良いか分からずにおろおろしてしまうかもしれません。

まずは冷静になって状況を確認することが肝心です。

近くに頭をぶつけたりするものがないか、落下してしまうような場所でないか。頭をぶつけたり、脊椎を痛めたりといった二次的な障害がけいれん発作時には起こりえますので、そういった危険から遠ざける必要があります。

1回の発作が5分以上続く場合や、治まっても直ぐに発作が再開する場合は、発作重責や群発発作といって命に関わる重篤な状態ですので速やかに動物病院で治療を行う必要があります。

発作が起きた際は、可能な限り動画でその症状を録画して、確認させてもらうことでより確実な診断の助けとなります。

てんかんは、特発性てんかん(原因が不明な病態、遺伝的要因)、症候性てんかん(脳奇形、脳腫瘍、脳炎、外傷など)に分類されます。

てんかん発作の症状は、体の一部分だけのけいれん(顔だけピクピクするなど)の場合もあれば、全身性の強直間代性けいれん(全身が硬直し、バタバタと手足が動く)が起きる場合もあります。まれに欠神発作(意識消失)や脱力発作が起きることもあります。

発作を起こす病気は多岐にわたり、頭部外傷や、低血糖、腎疾患、肝疾患などでも起こりえます。発作が起きた場合、どんなことが原因で起きたのかを調べることが重要です。
そのために、まずは血液の検査及びレントゲン検査により鑑別を行います。そこで異常がなかった場合、MRI検査やCSF(脳脊髄液)検査、脳波検査によって詳しく調べていきます。MRI検査によって、脳炎や脳腫瘍などの器質的な問題がなかった場合、特発性てんかんが疑われます。

てんかん発作が起きる際に、前兆行動を伴うことがあります。
前兆行動を発見できるかは、普段からよく観察してあげることが重要になります。

そわそわしだした。
部屋の中をぐるぐる一定に回りだした。
多量の涎がでてきた。
普段全然吠えないのに、急に吠えだした。

てんかん歴がある子でこのような行動が出た場合は、早めに動物病院へ連れてきてあげてください。
特発性てんかんでは、残念ながら完治させる治療法はありません。しかし、抗てんかん薬で発作をうまくコントロールしてあげることで寿命を全うすることが出来ます。

ねこの肥大型心筋症 2017年2月

こんにちは。
京都市北区にある動物病院 京都 獣医師の坂口邦彦です。当院は、京都市北区、右京区、上京区の区境の西大路通り沿いにあります。また、最近では、上京区に新たに、ねこ専門病院である、動物病院 京都 ねこの病院を開院いたしました。

2月も半ばを過ぎ、昼間の日差しはぽかぽかとしてきましたが、朝晩はまだまだ冷え込みますね。もう冬もそろそろ終わろうとしていますが、今年の冬は冷え込みも厳しかったせいか、例年より胃腸炎が重度になった子が多かった印象があります。
わんちゃんねこちゃんは体の不調を隠してしまい、症状に出づらいことも多いので、単純な胃腸障害に見えても、実は膵炎だったり、消化器型リンパ腫に代表される消化器の腫瘍に陥っていたりと、他の重篤な基礎疾患からの問題であることもあります。
自分自身が人間の病院へ健康診断へはなかなか行けていないですが、症状が見えない段階からの早期の健康診断は大事だなと改めて思います。人間ドックへいかねばと。

さて今日は猫の心臓の病気についてお話をします。猫で多い心臓病として、肥大型心筋症という病気があります。

この病気は、メインクーン・アメリカンショートヘア・ノルウェージャンフォレストキャット・ラグドール・ペルシャ・スコティッシュフォールド・在来短毛種で多いと言われていますが、どの品種でも発生する可能性はあります。中年期以降に発生が多いですが、3ヶ月齢~での発生も報告されており、品種・年齢・性別に関係なく発症する可能性がある病気です。

猫は心臓が悪くなっても症状になかなか出てこないため、飼い主さんが症状に気づく時にはかなり進行していることが多々あります。

・最近ぐたっとして元気がない、食欲も落ちてきた
・遊ぶけど、すぐに疲れる
・安静にしているのに、口をあけて呼吸している
・急に叫んだと思ったら、後肢が動かない

こんな症状が出ている場合は要注意です。特に開口呼吸や、後肢麻痺が出ている場合は緊急状態の可能性も考えられます。

心臓の内部は、左心房・左心室・右心房・右心室という4つの部屋にわかれています。 左心室から全身に血液が送られ、全身を巡った血液は右心房に戻ってきます。右心房から右心室を通って肺に血液は送られます。肺で酸素を受け取った血液は左心房へと流れてきます。そして左心房から左心室を通り、全身に血液が送られます。

肥大型心筋症では、心臓の筋肉が分厚くなってしまうせいで、左心室の内腔が狭くなり、血液がうまく流れず、肺から心臓へ血がきちんと戻れないという状態になります。
その結果、左心房で血液が溜まり、胸水や肺水腫なったり、血栓ができてしまったりします。胸水や肺水腫のせいで呼吸困難を起こしたり、心臓で出来た血栓が全身へ流れてしまい血管で詰まり、麻痺に陥ることがあります。全身へもうまく血液を巡らせることが出来ず、失神を引き起こすこともあります。

肥大型心筋症は、進行が初期の状態では明らかな症状が出ず、重症化して呼吸困難や血栓症になって気づかれることが多くあります。早期に発見するためには、以下の詳しい検査が必要になります。

・胸部レントゲン検査
心臓の拡大、胸水や肺水腫のチェック

・心臓の超音波検査
心筋の分厚さ、左心房拡大、左室での血液の逆流、血栓の有無をチェック

・血液検査
血液循環に影響を及ぼす異変、脱水、腎不全、電解質異常のチェック
内分泌異常のチェック、うっ血状態のチェック

・血圧測定
高血圧になっていないか

肥大型心筋症は、聴診で心雑音が出ないことも多く、定期的に詳しく確認していくことが重要になります。

心筋が肥大しているとわかった場合、根治させる方法は残念ながらありません。
肥大型心筋症の治療は、血管を拡張させたり、心臓の収縮力を高めることで血行動態を改善させて、胸水や肺水腫、血栓塞栓といった命に関わる状態に陥りづらくさせることで、生活の質を維持する事を目標にします。

特に症状がなくても、年に一回はレントゲン検査や心エコー検査でチェックすることをお勧めしています。わずかな変化に気づくことは難しいですが、少し気になるな、という感じでも早めの検診につれてきてあげてくださいね。

ねこの口内炎のお話 2016年10月

こんにちは。
動物病院京都 獣医師の坂口です。

この所すっかりと暑くなってきましたね。

忙しさにかまけて自分自身が病院に行く機会をなかなか作れず、腰痛がひどくなったり、虫歯が進行してしまったりと不養生です。
ところで、口腔の問題は人間だけではなく、動物にも色々起こるのをご存知でしょうか?

今日はネコの口内炎のお話をしようと思います。

最近、食べ方が下手になってよくご飯を口からこぼす。口の周りをよくこすっている。

そんな変化起こっていませんか?

口を気にするという症状では、いくつかの原因が考えられますが、ネコさんということを考慮すると、口内炎が一番多いと日々の診療では感じています。

ネコさんの場合だとポチっとどころでなく、口の奥までひどく潰瘍ができていたり、炎症がきつくなってしまっていることもあります。

・口臭がキツくなる
・唾液に血がまじる
・口を頻繁に気にする
・口を痛そうにしてご飯が食べられずに痩せる

などの症状がでていると要注意です。

難治性歯肉口内炎と呼ばれるこの疾患は、ネコの数%にみられると言われています。

原因は口腔内の細菌、免疫低下を引き起こす猫エイズウイルスや猫白血病ウイルス、その他ウイルスの関与、また免疫反応の異常が関与すると言われていますが、まだはっきりとはわかっていません。

 

上記の画像は、左はいわゆるネコさんの口内炎、右は正常の口腔内写真です。

黄色矢印で示す部分には口腔の後部(口峡部)の粘膜に著しい炎症と肉芽様組織の増生が起きています。ここまでなると、食事が喉を通るときに、触れてしまって、ひりひりして口が痛くてまともにご飯を食べることも多く、できなくなります

治療としては、一般的に①内科的治療と②外科的治療が行われます。

①内科的治療
抗生物質、ステロイド剤や消炎鎮痛剤、インターフェロン

 

②外科的治療
抜歯(全臼歯or全顎歯抜歯)、歯石除去

内科的治療ですが、一時的に症状の改善が見られたとしても、完治することはなく、投薬をやめると再発することがほとんどです。最も効果的なのはステロイド剤ですが、使い続けるうちに効果が悪くなったり、副作用の問題が現れてきます。

完治を目指すには、外科的な治療が必要になります。通常は全臼歯抜歯を行って、数ヶ月経過を確認し、効果がない場合は全顎抜歯を行います。全臼歯抜歯の治癒率は60~70%、全顎抜歯では更に+10~20%と言われています。

自分の身で考えると、ご飯をおいしく食べられないのはすごく悲しいことですね。猫さんたちの口に出来ない口の訴えを見逃さないようにしてあげてくださいね。

心臓病のお話 2016年8月

こんにちは、動物病院京都の坂口邦彦です。この所夜も暑くなってきており、自宅で冷房をつけようとすると、リモコンが行方不明!汗だくでなかなか寝付けない状態です。 夏場は体調を崩しやすく、人と同じく動物も熱中症、循環器や呼吸器、泌尿器の問題が出やすい時期ですのでよく様子を見てあげてください。

呼吸困難を呈していると訴えて来られたわんちゃんをお伝えします。 来院時、咳が荒くなり、元気食欲がなくなっているとのことでした。聴診において重度の心雑音が確認されました。心臓の雑音は、獣医師が聴診器で聴いていくものなのですが、音の強さによって、6段階に分かれていて(1が軽度、6が重度)、そのときの音がすでに6段階中の6でした。そこで心臓や肺の状態を確認するために撮ったのが下のレントゲン写真です。

左上の画像は初診時のレントゲン写真です。 右上の画像は健康な子の写真です。 肺野が白くなり、心臓と肺の境界が不鮮明になっているのが見て取れます。 肺は、肺胞と呼ばれる小さな袋が集まってできており、肺胞を通して酸素と二酸化炭素の交換がされています。この肺胞の中に血液の液体成分が滲みだしてしまっている状態、肺水腫となっている状態でした。心臓の左心室から全身へ血液を送り出す力が低下し血液が肺に過剰に貯留してしまう状態で、これは心原性肺水腫と呼ばれます。

検査としては、レントゲン検査、超音波検査、血液検査などが考えられますが、動物さんの状態を安定させるために、優しい方法として、うつ伏せのレントゲン検査と血液検査のみを実施し、治療を優先することにしました。

そこで当院で行った治療として
①マスクからの酸素吸入 その後 高濃度酸素集中治療室での入院管理

②肺から水を抜くための利尿剤の投与

③心臓の負荷を軽減するためにの血管拡張薬、強心薬の投与 を行いました。

治療開始8日後に撮影したレントゲン像が右下の写真になります。 肺野に写っていた白いモヤは消えて、肺と心臓の境界ははっきりとするようになりました。

体調が落ち着いてから、超音波検査により心臓を詳しく検査してみました。すると心臓の左心房と左心室の間の僧帽弁の片側の腱索が断裂し、また反対側が粘液腫様変性を起こしており、うまく弁が閉鎖できなくなっているために逆流が生じ、左心房は重度に拡張しているという状態でした。 心臓の内部は、左心房・左心室・右心房・右心室という4つの部屋にわかれています。 左心室から全身に血液が送られ、全身を巡った血液は右心房に戻ってきます。右心房から右心室を通って肺に血液は送られます。肺で酸素を受け取った血液は左心房へと流れてきます。そして左心房から左心室を通り、全身に血液が送られます。 左心での逆流が生じた結果、肺でのうっ血が起こり肺水腫に至ります。

動物は人と違って、呼吸が苦しいとは言ってくれません。飼い主さんがしっかりと見てあげる必要があります。最近すぐ疲れる、咳が増えてきた、安静にしているのに呼吸が荒い、といった症状が観察された場合、高齢だからと勝手に納得せず、すぐに病院に連れて行ってあげてくださいね。

皮膚病の良好な治療経過をたどっている1例 2014年9月

動物病院京都 獣医師の坂口 邦彦です。

最近はずいぶんと冷え込む日が続き、夜はさらに急に冷えたりもしていますね。
こういった季節目の変わり目は、調子を崩しやすいのでしっかり体調を観察してあげてくださいね。

さて、今回は現在皮膚を治療し、良好な結果をたどったチワワさんを紹介したいと思います。

下の写真は初診時の様子です。首周りの皮膚は炎症がひどくなり、毛は抜け、皮膚はゴワゴワとした象皮様になっていました。背中や四肢(前足や後ろ足)にも脱毛や発赤が見られており、体からの分泌物で毛や体の皮膚は、かなり脂っぽくなっていました。

すぐにできる検査ではありますが、簡単に皮膚の表面からスライドガラスで、細菌やカビ、毛包にひそむ毛包虫などがいないかを顕微鏡で確認してみると、マラセチアというカビが検出されました。(右図の小さい雪だるまのような形のものすべて)

本来であれば、首元には、黒い毛がふさふさと生えているはずですが、マラセチアというカビが悪さをして、毛根ごと毛が完全に脱毛し、象さんの皮の様な皮膚(象皮様といいいます)になってしまっています。また股などには、多くの発疹が認められ、痒そうな様子が観察されました。

当院の基本的な方針は、皮膚病における「脱・ステロイド」なので

ステロイドを内服薬として用いない以下の治療を行いました。
① 当院サロン「ひまわり」にて、薬用シャンプーを用いた定期的な薬浴
② 痒み・赤みを抑えるスプレーの使用
③ ノミ・ダニ予防薬の投与
④ 内服薬(抗真菌剤)の処方

にて、治療を行いました。

治療開始1週間目の写真です。

治療開始から1週間がたつ頃には効果が現れてきました。

ゴワゴワとした象皮様の質感は、やわらかげな様子になってきました。

治療開始から3ヶ月目の写真です。

治療開始から3ヶ月たつと、

毛はしっかり生えてきて、皮膚もきれいになっています。

現在は内服薬などを用いず、定期的な薬浴のみできれいな皮膚の状態を保っています。

 

もう1度、治療前と治療後の写真を比べてみましょう。

左が治療前の写真です。右が治療後の写真です。

治療後の写真が、別の子の首元ではないかと思うくらいの良化です。

繰り返しになりますが、今回はステロイドなど強い治療薬を使用していません。必要なことは、正しい診断と治療と、それをやり遂げる努力です。

皮膚病は完治させるのが難しいこともありますが、治せない病気ではありません。すべての症例で、今回のようにうまく治療が進むというわけではありませが、適切な検査とそれに基づく診断、さらに適切な治療を最後までしっかりとやり遂げることで皮膚は良くなります。諦めてしまえばそこまでです。きれいな元の皮膚を取り戻すために、飼い主さんは諦めずに立ち向かってあげてほしいと思います。私達はその手助けをします。

当院では、基本的には皮膚病を治療していくにあたり「脱・ステロイド」宣言をしております。もちろん、必ずステロイドを使用しないというわけではないですが、今回の例の様に、皮膚病がかなり進行している子でも、ステロイドを使用せずにきれいに治ることも多いです。

皮膚病で悩まれている方や、ステロイドを使用せずに何とかできないかと考えられている方は、一度ご相談ください。

動物病院 京都

075-465-3330

皮膚科:院長 園田 祐三

    獣医師 坂口 邦彦