2022.06.10
症例紹介
こんにちは。動物病院京都獣医師の坂口邦彦です。
近年、人とおなじくペットの寿命も伸び、長生きになってきました。
平均寿命は、犬が14.1歳・猫が14.3歳・うさぎが7.9歳・フェレットが5.5歳・ハムスターが1.9歳(アニコム家庭動物白書)というデータがあります。
長生きに伴って、昔に比べて腫瘍にかかってしまうペットも増えてきました。
今日はそんな腫瘍についてあれこれとお話します。
腫瘍は良性と悪性の腫瘍に分けられ、悪性腫瘍はいわゆる「がん」のことです。
細胞の遺伝子に異常が起きてしまい、正常な細胞分裂ができなくなって増殖し続けるようになったものを指します。
悪性腫瘍は、周りの細胞に浸潤したり、体の離れた場所に転移したりして、患者が亡くなるまで増殖を続けます。
良性腫瘍は転移することはないですが、発生した場所によっては問題になることもあります。
例えば、わきの下にできて歩きにくくなったり、腸の中にできて出血を起こしたりします。
腫瘍に気づいてあげられるのが早ければ早いほど、治療に間に合う可能性が上がります。
動物病院に来られるよくある例として、下記のようなものがあります。
・ブラッシングやシャンプーした際に、出来物が皮膚にあるのを見つけた
・鼻血、おしっこやうんちに血がついていたなど出血症状
・お腹が膨れてきた
・最近痩せてきた
自宅での違和感が特になくても、健康診断で動物病院に来られた時に獣医師の観察により発見されることもあります。
ペットの命を守るためにも、定期的な健康診断に連れてきてあげてください。
腫瘍の検査で特に必要になってくるのが、腫瘍の種類と転移の確認です。
腫瘍と戦っていく上で「その腫瘍の種類は何なのか?」「どこまで進行しているのか」が特に重要になってきます。
種類の特定には、生検(腫瘍の一部または全体を切除し、顕微鏡で組織の形態を調べることで悪性度や腫瘍細胞の広がりを判断する)や特殊染色、遺伝子検査を行います。
転移の確認には、レントゲン検査・超音波検査・CT検査などの画像診断を行います。
CT検査は、直径1mmの病変を検出することができるため精度が高いですが、麻酔をかける必要があります。
まずは負担の少ない検査として、レントゲン検査・超音波検査を行います。
腫瘍の治療に重要になってくるものが3つあります。
腫瘍を完全切除による完治を目指します。完全切除が叶わなくてもサイズを減らすことでQOLの改善につながります。
切除できない腫瘍に対してや、外科治療後の再発・転移を予防するために行います。
外科手術が適応できない腫瘍(脳腫瘍や鼻腔腫瘍など)に対して行います。動物病院京都では放射線治療設備がないため、この治療を選択する場合は大阪府立大学獣医臨床センターを紹介しております。
これらのほかに、細胞免疫療法やレーザー温熱療法などを組み合わせたり、緩和療法(点滴や痛み止め)を行います。
本日は腫瘍についてあれこれお話ししました。
健康に長生きしてもらうためにも、日々のペットとの触れ合いの中でしっかりみてあげることが病気の早期発見につながります。
気になることがあれば、動物病院に早めにご相談ください。
動物病院 京都は京都市北区にある動物病院です。
一般的な町の動物病院としての役割のほかに、ねこ専門の病院があったり、骨折や脱臼などの整形外科手術の実績が豊富なことや、皮膚科の専門医診療など、より高度な獣医療も提供しています。
京都市西京区にも分院の動物病院京都 西京桂院があり、京都市内を中心に、飼い主様に寄り添った獣医療を提供しています。
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