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【獣医師インタビュー】整形外科に関する病気について

2022.07.11

インタビュー

動物病院京都 本院の勤務医および京都動物医療センターの整形外科担当医として、幅広い知識をお持ちの木村獣医師に、飼い主様に知ってほしい整形外科のことをお伺いしました。

もし愛犬・愛猫が整形外科に関する病気を患ってしまったらどうすればいいのか、日常生活で気を付けておくことはあるかなど、飼い主様に知ってほしいポイントをわかりやすく解説します。

【飼い主様とコミュニケーションを取りながら、治療を良い方向に進めていく】

ーーわんちゃんと一緒に生活する上で、気を付けたらいいことはありますか?

木村先生:整形外科医の観点で言うと、生活スペースでは滑らないマットを敷いたり、足回りのケアをしてあげたりすることが大切だと思います。特に足のケアは、爪を定期的に短く切るとか、足の裏の毛をカットするなど、わんちゃんが転倒する可能性を少しでも無くしてあげることがいいと思います。ソファーなどの高い位置からの転落事故も非常に多いですが、高い所に上がらせない対策をすると、家の中を囲いだらけにするか、わんちゃんとの生活スペースを分けるかという方法になってしまうので、あまり現実的ではないかなと思います。ダイニングテーブルなどの高さは非常に危険ですが、ソファーやベッドくらいの高さだと、大きなケガにつながる可能性が少ないので、そこまで神経質にならなくてもいいかと思います。

ーー整形外科疾患における飼い主様が異変に気付くサインなどはありますか?

木村先生:明らかに症状が出ていなければ、様子を見てみることがほとんどです。早期に動物病院に行っても、病気を発見することができないことが多いので、足を引きずっていなかったら問題ないと思います。ワクチン接種や健康診断などで、定期的に動物病院に行っていれば、その時に担当医が病気に気付くことがあるので、動物病院に行くことが大切かと思います。あとは犬種によって好発する病気は異なるので、そういった知識を覚えておくことも予防になりますね。

ーー木村先生がよく行う検査方法や治療方法を教えてください。

木村先生:骨折はどの治療方法でもあまり変わりないので、治療プランは私が決めます。肩関節の脱臼や関節などの治療は術式が複数ありますが、グレードや症例によって使い分けています。「手術の回数を減らしたい」「再発のリスクを無くしたい」などの飼い主様の希望を聞いたりして、治療のメリット・デメリットをお話しして選んでもらったりもします。検査については、歩容(歩き方)の検査、触診、レントゲンは最低限行います。高齢の子であれば、血液検査もします。歩容は経験が必要かと思いますが、見るポイントが決まっているので、そこまで複雑ではありません。今であれば、スマホなどの動画を撮って、スローで見ると誰でも異常がわかると思います。

ーー治療を進めていく上で、大切にしていることはありますか。

木村先生:整形外科は手術がメインになると思いますが、手術が本当に必要かどうかを見極めることを大切にしています。整形外科で一番多い症例は、膝蓋骨の内方脱臼かと思いますが、手術をすることがその子にとって最良の治療なのかどうかを判断することが大切です。その判断は難しいですが、今までの経験で判断できることもあるので、やはり経験は大きいと思います。

ーー手術後のケアや回復のポイントなどについて教えてください。

木村先生:動物病院京都や京都医療センターでは、リハビリテーションの施設が無く、術後はご自宅でできるリハビリをしてもらう形になります。術後の通院は、3ヵ月くらいが目安になってくると思います。本来であれば、整形外科の術後は積極的にリハビリをしてもらう方が良いですが、リハビリをしていないからと言って、歩けなくなることはないです。歩けなくなるということは、根本的に手術や治療が間違えているということなので、歩けるようにはなります。リハビリは、回復する時間を早めるために行うものですので、目的を理解したリハビリが効果的です。動物病院京都でも、近い将来にリハビリ設備ができるかもしれませんね。

ーー整形外科で行う内科治療について教えてください。

木村先生:橈骨・尺骨などの骨折は基本的に手術を行いますが、他の部位の骨折は手術をしないことがあります。前十字靭帯の断裂も理想は手術での治療ですが、高齢犬や小型犬であれば、内科治療の選択もあります。その子の状態を見たり、家族の希望を聞いたりして進めていきます。内科治療は、主に痛み止めの処方や関節もサプリメント、適度に運動をさせるなどです。運動も悪化させない程度で大丈夫です。痛めている部分を全く動かさなかったり、暴れさせたりすると良くないですが、ゆっくりしたスピードで動かすことを継続してあげることで、痛みが引くこともあります。

ーー動物の体重を適正に管理することは大切ですか?

木村先生:整形外科分野においては、足の悪い子はやや痩せている方がいいかと思います。もちろん肥満はよくないですが、ガリガリに痩せている子も筋肉量が落ちて良くないので、やや痩せているもしくは、標準体型の下限ラインが理想かなと思います。

ーー整形外科の手術をする際のリスクは何でしょうか?

木村先生:整形外科の場合、命に危険が及ぶ可能性というのは基本的には低いです。命を守るための手術という観点で見ると、整形外科における手術のリスクは小さいと思います。しかし、手術の失敗によって、最悪その子が一生歩けないままになってしまう場合も想定されます。若い子であれば、10年以上は歩けないようにさせてしまうことになるので、そういったリスクは伴います。再発を心配される方もいらっしゃいますが、整形外科の再発率は低く、骨折や前十字靭帯の断裂は再発しませんし、肩と股関節の脱臼も症例としては多いですが、再脱臼の可能性も1割程度です。

ーー疾患を早期発見する上で、どういったことが大切だと思いますか?

木村先生:整形外科の疾患は、飼い主様が一番最初に気付くことが多いです。歩容にも個性があり、さまざまな歩き方があります。痛みや違和感が出てくると、動物たちの動作や行動に必ず変化が出てきます。そういった意味では、やはり日々生活を共にしている飼い主様の診断が一番だと思います。


動物病院 京都について

動物病院 京都は京都市北区にある動物病院です。

一般的な町の動物病院としての役割のほかに、ねこ専門の病院があったり、骨折や脱臼などの整形外科手術の実績が豊富なことや、皮膚科の専門医診療など、より高度な獣医療も提供しています。

京都市西京区にも分院の動物病院京都 西京桂院があり、京都市内を中心に、飼い主様に寄り添った獣医療を提供しています。

些細なことでもお気軽にご相談ください。

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